人工内耳さんいらっしゃ~い CASE.2 -M.Oさんの場合-

人工内耳さんいらっしゃ~い CASE.2 -M.Oさんの場合-

ZOOM茶話会やオープンチャットなどでも、たびたび話題にあがる「人工内耳」。
進行性難聴が特徴の一つでもあるこの疾患の当事者にとって、とても関心の高いテーマです。
そこで、ZENPEピープルの人工内耳装用者さんの経験談、まとめてみました!
※医師監修ではなく、あくまでも個人の経験談としてお捉えください。

プロフィール

人物

M.Oさん

  • 60代
  • 男性

症状

  • 前庭水管拡大症
  • 両耳:人工内耳

聴力

難聴発覚時 3歳

左70db 右 75db

人工内耳手術直前の聴力と語音明瞭度

左 105db 明瞭度 0%
右 110db 明瞭度 0%

人工内耳装用後の聴力と語音明瞭度

左 人工内耳装用して15db
明瞭度 90%
右 人工内耳装用して35db
明瞭度 20%

インタビュー

1.人工内耳手術のいろは

人工内耳手術をした時の西暦

左耳:2019年
右耳:2021年

人工内耳を決めた経緯を教えてください

左耳の聴力が徐々に落ちてきて、術前には自分の声も聞き取れなくなりました。右耳の聴力は元々重く補聴器を付けていなかった為、人工内耳をして音の方向が分かれば良いなと思い手術を決めました。

術後の音入れなどのスケジュールを教えてください

病院によって変わってくると思いますが、
私の場合は術後7日目で音入れをし、すぐに退院しました。
音入れの後、最初の1ヶ月間は2週間間隔でマッピング。
2ヶ月後から1年は、毎月マッピング。
1年後からは、2ヶ月間隔でマッピング。
今も2ヶ月間隔でマッピングをしています。

リハビリはどんなものでしたか?どれくらい時間がかかりましたか?

病院でリハビリは受けていないです。
病院でリハビリをするのは、人工内耳装用している乳幼児から小学生までじゃないかなと思います。
自主的なリハビリとして
STさんと相談して、音楽を聴くリハビリをする為に、音楽専用のマップも作ってもらいました。
自宅でリハビリする形です。
音楽を聴く他に、ラジオを聴くリハビリもやっていました。
リハビリの頻度は、音入れ後から1ヶ月は毎日、同じ音楽を延々と3時間聴いていました。
2ヶ月後から現在も、毎週 1回 延々と3時間聴いています。

術後の痛みや不快感はどの程度ありましたか?回復にはどれくらいかかりましたか?

術後の痛みは、ほとんどなかったです。
インプラントが埋め込んでいますので、3ヶ月くらいは不思議な感覚でしたが、慣れると不快感が無くなりました。

人工内耳装用時の聴力が安定するまでどのくらいの期間がかかりましたか?

音入れ後の1日目、
いろいろな音が
「ぴょんぴょん 、 ポワンポワン」
のような感じで聞こえていました。

例えば、
看護師さんが歩く足音は、「ぴょんぴょん 」
ノックする音は「ポワンポワン」のような感じです。

音入れ1週間目
「ぴょんぴょん 、ポワンポワン 」が、徐々に記憶に残っていた音に聞こえ始めてきました。
その頃から主治医の声、看護師さんの声が宇宙人やヘリウムガスを吸った時のような声で聞こえるようになりました。
宇宙人のような声が聞こえても、言葉自体は聞き取れていたので、会話のキャッチボールがキチンと成り立ちました。

音入れ半年目
マッピングをする度に、宇宙人のような声で聞こえていたのものが、補聴器よりも綺麗な音に聞こえ始めました。

音入れ1年目
補聴器のときよりも、様々な音が明瞭に綺麗に聞こえるようになりました。補聴器で聞こえなかった音が人工内耳で聞こえるようになったので、脳にこの音はあの音だと認識させるように努力をしました。

人工内耳手術にかかった費用はおいくら位でしたか?保険や補助金の活用はできましたか?

障害者手帳 2級なので医療費はかかりませんでした。
食事代は自己負担なので、入院日数分を負担しました。

どの人工内耳メーカーを選択されましたか?選択した理由、しなかった理由を教えてください。

インプラントを入れてもMRIがそのまま受けれる事を重視して決めました。
6年前、当時のメドエルのインプラントは、3.0テスラ規格のMRIはそのまま受けられる状態でした。
それに対し、コクレアは、1.5テスラ規格のMRIは受けられましたが、3.0テスラ規格のMRIはインプラントの磁石を取り出さないと受けられないものがありました。
耳とは別の疾患で、全身麻酔を7回も受けている身体だったので、今後の事を考えてインプラントの磁石を取り出さなくても3.0テスラ規格のMRIが受けられるメドエルに決めました。
2024年5月に頚椎の手術があり、術前の検査で3.0テスラ規格のMRIを受けました。
もし、コクレアだと3.0テスラ規格のMRIだとインプラントの磁石を取り出す必要があったので、メドエルを選んでおいて良かったです。
現在は、メドエルもコクレアのインプラントも、3.0テスラ規格のMRIはそのまま受けられるようになっていますので、ご安心下さい。

補聴器の5年ごとの購入や修理、電池代などと比較して、人工内耳の耐久性やランニングコストを教えてください

人工内耳は、耳掛けタイプと一体型の2種類があります。
耳掛けタイプは、充電池が消耗品なので、劣化したら自己負担で購入する形になります。
20000円くらいで、寿命は約2年〜3年と聞いています。

プロセッサ(人工内耳の機器)とコイル(頭皮に付ける)に接続するコードも切れたりすると自己負担で購入します。
マイクカバーも交換が必要になりますので、年間でトータルすると約20000円前後になるかと思います。

私は、一体型です。
マイクカバーは年3回交換しています。年間交換費用は、18000円くらいです。

バッテリーは劣化すると、
プロセッサそのものが、ダイレクト交換になります。
バッテリーだけの交換はできない仕組みとなっています。
交換費用は、補装具費支給に申請して、自己負担は3000円くらいになります。
医療費ゼロの方は、自己負担は無いと思います。

プロセッサは、故障しない限り使用し続ける形になりますが、
同じ機種が5年以上経過した場合、アップグレードをする事があります。アップグレードする場合は、いくつかの検査が必要で検査の結果が良ければ、アップグレード対象として健康保険適用になります。

メンテナンスやケアで気をつけていることはありますか?

汗をかいた時などに、まめにプロセッサを拭く位ですね。

耳掛けタイプは、乾燥器に入れる必要がありますが、
一体型は乾燥器に入れる必要はないです。

               

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